賃貸に引っ越したけど空き巣対策は何か必要なのかな。
もし空き巣被害にあったらどうすればいいんだろう。
火災保険が使えるって聞いたけど本当かな。
日本の空き巣被害は年々減少しているものの、まだまだ身近な存在です。
かくいう私も2024年9月に空き巣被害にあいました。
まさか自分が被害者になるとは夢にも思わず、防犯対策は何もせず空き巣被害にあいました。
被害当日は呆然とし、どうすればいいのかいろんな人に聞いたり調べたり必死でした。
この記事では、賃貸暮らしで実際に空き巣被害にあった私が、空き巣にあった当日の様子と対応手順を紹介します。
さらに、そもそも空き巣に入られないようにするには、どんな対策が必要なのか、空き巣被害者の視点で考える、火災保険と防犯グッズの必要性と具体例をご紹介します。
自分に限って被害にあうことはないだろうと高をくくらず、自分の大切なものや人を守るため、万が一に備えた知識をもっていただければと思います。
住宅侵入窃盗の現状
住宅の侵入窃盗件数と侵入種別ごとの内訳
警察庁公表の「令和5年の刑法犯に関する統計資料」によると、住宅侵入による窃盗の認知件数とその種別内訳は以下のようになっています[注1]。
グラフからわかるように、住宅侵入の窃盗認知件数の総数自体は減少傾向にありますが、最近の統計でみるとR5年はR4年から2000件近く増加しています。
1日約50件も発生しているという計算であり、毎日どこかの住宅で被害者が生まれているということになります。
侵入の種類でみると、毎年発生するうちの約6割が空き巣によるものとなっています。
やはり犯人からしても、侵入リスクのある忍込みや居空きより、入居者の留守を狙った空き巣をする傾向が強いことがわかります。(住人がいる間に侵入される忍込み・居空きが3割あることにも正直驚きですが。。。)
令和5年 侵入手口ごとの住宅形態別認知件数(令和5年の刑法犯に関する統計資料(1,058KB)(令和6年8月 警察庁) をもと作成。)
住宅形態別の認知件数をみると、一戸建住宅での被害が最も多いことがわかります。
共同住宅(いわゆるアパート等)のような物件は、部屋数が少なく一戸建に比べて住人に気づかれやすいという点から、忍込みと居空きの被害は少ないのではないでしょうか。
一方、空き巣は忍込みや居空きに比べ、共同住宅での犯行も多いことがわかります。
このことから、賃貸などに住んでいる場合は自宅を留守にしている間の防犯対策を検討することが、重要であると考えられます。
用語説明(用語をクリックすると意味を確認できます。)
認知件数
警察において発生を認知した事件の数のこと。
空き巣
入居者が留守にしている間に侵入し、金品を窃盗すること。
忍込み
夜、入居者が寝静まった頃に侵入し、金品を窃盗すること。
居空き(いあき)
入居者が在宅中、お風呂時間などの隙をついて侵入し、金品を窃盗すること。
重要窃盗犯
侵入窃盗、自動車盗、ひったくり及びすりのこと。(本記事では侵入窃盗のみ表示)
4階建以上共同住宅
中高層(4階建以上)の住宅のこと。
3階建以下共同住宅
住宅のうち、一戸建住宅及び中高層(4階建以上)住宅を除く住宅のこと。
空き巣被害にあった日の実体験記録
ここでは、私が実際に空き巣被害にあった当日の様子と対応の流れを紹介します・・・・・・・・・・・
長くなるので見たい方はここをクリックして展開してください。
空き巣当日は9月初旬のまだ暑い晴れた月曜日、会社で業務をしている14:45頃、突然スマホに管理会社からの電話が入りました。
入居から約2年で初めての管理会社からの電話に、なんだか嫌な予感がしました。
「今警察から電話があり、〇〇さんのお部屋に泥棒が入ったと連絡がありました。警察の立ち合いをしていただきたいので、今から帰宅することはできますか?」そう伝えられました。
私には同棲している彼女がおり、ちょうどこの日から半年の病気療養明けの仕事復帰をし、15:00までの勤務を予定していましたが、午前中に「体調がよくないから午前中で帰るかもしれない」とラインが入っていました。
私は「すぐに帰ります」と伝え電話を切ると、真っ先に彼女に電話をかけました。しかし何度かけても応答はなく、内心焦りはピークでした。
心配でたまらなくなり彼女の勤務先へも電話をかけ、彼女はまだ会社にいるか確認をしました。
幸い彼女は電話に出られなかっただけで、まだ会社にいることがわかりました。
しかし勤務時間を少し早い15時までと決めていたことや、午前中での早退を考えていたこともあり、もしも帰宅して空き巣犯と鉢合わせて強盗にあっていたらと考えると、肝が冷えたと同時に、本っ当によかったとひと安心しました。
そのあとすぐに部長に事情を伝え仕事を置いて帰宅しました。(理解のある上司でよかったです。。。)
会社から家までは約15分、彼女の職場が近く、ちょうど退勤時間と重なったため、迎えに行って二人で帰ることにしました。合流した彼女の顔を見て、本当に無事でよかったと改めて実感しました。
詳細な被害状況は何も聞かされておらず、帰宅途中は二人で、どうなるんだろうね。そんなに高価なもの何もないのにね。と苦笑いすることしかできませんでした。
アパートに着くと、警察車両が2台と警察官が2人、鑑識課の職員の方が3人外で待っていました。
「この部屋の方ですか?」
「はいそうです。」
近所の住人から空き巣がガラス破りをしているかもしれないと通報があり、15分後現場に到着、警察官3人で部屋に立ち入り、空き巣犯が部屋に隠れていないことを確認したと聞かされました。
始めに侵入経路と思われる割れたガラスを外から確認しました。専用庭に出るスライド式ドアの鍵付近の下側ガラスが割られているのを確認しました。本当に空き巣に入られたんだと実感しました。
その後早速鑑識の作業が始まりました。足跡や指紋採取をするため、それと同時に私たちは外で警察官の2人から、詳しい状況報告と事情聴取を受けました。
侵入はおそらく1階専用庭のドアからでありガラス破りによるものであること、通報者は専用庭に面した隣家の方で、カーテンを閉めた際に目が合った気がしてしばらくしてから警察に通報したこと、
通報者が見た空き巣犯の外見的特徴、心当たりがあるかの確認など、非日常すぎて気が動転している中で、一生懸命落ち着いて対応しようとしたのを覚えています。
一通り事情聴取と鑑識の作業が終わると、ここで初めて部屋の中に入り、盗まれたものや犯人が残したものがないかの確認をしました。
部屋に入る際には、新しい靴跡を残さないよう、靴に袋をはき、カバンの中や物入れの内容確認は手袋をしている鑑識の方が代わりに行いました。
貴重品が入っていそうな心当たりのある場所を一通り確認しましたが、不幸中の幸いにして、盗られたものは何もありませんでした。
警察の方も言っていましたが、おそらく通報者の方と目が合ったと気づき、何も取らずすぐにそのまま表玄関へ抜けて出ていったものと思われました。
被害状況の確認が終わると、鑑識で調査した足跡や指紋の確認を行いました。
鑑識の方が採取した現場の足跡や指紋に、私が指差し確認しているところを写真撮影しました。(顔は写さないアングル調整など十分に配慮くださいました。)
協力者指紋として私の両手の指紋の採取も行いました。
証拠データ書類や手続き書類に名前と印鑑をし、作業は終わりました。
一連の流れが小さい頃見ていたドラマと同じ光景で、あっという間に時間が過ぎました。
最後に警察の方が一緒に作成してくださった被害届の内容を確認し、被害届番号と警察の連絡先を手書きで書かれた紙を渡され、警察の方は帰っていきました。
お礼を言って彼女と2人になった瞬間、一気に疲れが出てきました。
ガラスは割られ、土足で部屋に上がられ、知らない人間に部屋の中を見られたことに、腹立たしさと気持ち悪さが沸き上がってきました。
落ち着きたい気持ちもありましたが、まずは急いでガラスの修理をしないといけませんでした。何も盗れず逃げることになった犯人がまた戻ってくることも十分に考えられました。
鑑識作業の待ち時間に、管理会社を通して当日中に修理してもらえるガラス業者さんを探してもらっていました。再度連絡をしてみたところ、どうしても見つからず今日一日は何かでふたをしてもらうしかないと言われました。
しかたなく当日は段ボールを外と内からそれぞれ3重にかぶせて穴を塞ぎました。さらに近くのホームセンターへ行き、ドアと窓の補助錠とドアが開くと警報音が鳴る防犯グッズ、防犯シールを購入しすぐにできる防犯対策をしました。
その日は電気をつけたまま眠りました。自分の防犯意識の低さに失望しながら、あまりよく寝られませんでした。
翌日の午前中にはガラス屋さんが修理に来てくださり、作業前には状況写真も撮って、元通りに直してくださいました。
ガラス屋さんはよく空き巣の案件対応をすることがあるらしく、防犯をしていても空き巣は入られるときは入られるから、人が監視しているしか確実な方法はないと言っていました。
たしかに、今回は隣家の方が空き巣犯を見つけて通報してくださり窃盗の被害がなかったので、防犯には人の目が一番有効なのだと実感しました。
少し戻って、段ボールで割れたガラスの穴を塞いでいるとき、偶然通報者の方と話す機会がありました。
「悪いね、もう少し早く気付けるとよかったんだけど。」優しそうな年配の方でした。
なんていい人なんだろうと思いました。
「ちょうど見つけていただいたおかげで何も盗られませんでした。助かりました。本当にありがとうございました。」
感謝を伝えると同時に、防犯には賃貸住みであっても地域の方とのつながりを持っておくことが大切なんだと実感しました。
もとの部屋に戻りましたが、ガラスの修理費用はどうなるのか、お金の問題がまだ残っていました。
管理会社と電話した際に、修理費用は入居時加入した火災保険を使うことを検討してもらうことになると言われていました。
自己負担になるのか。とまた少し嫌な気持ちになりながら保険会社に連絡しました。
加入している火災保険は賠償責任保険であり今回のような被害状況には適用できないが、特約で保険金が出せるとのことでした。
ただ、大家さんや管理会社が負担してくれることが多いとも言われたため、念のため管理会社に再度、入居者の支払い義務のあるパターンについて確認の電話をしました。
私の住んでいる物件では、基本的に空き巣被害は入居者加入の火災保険で対応すること、台風や豪雨などの自然災害の場合は大家さんが加入している保険適用となること、入居者の過失による火災や壁に穴をあけた、ガラスを割った、扉を壊した等は入居者の負担となることを伝えられました。
ちなみに今回の件を受けて、防犯カメラの設置を検討してもらえないか聞いてみたところ、私の住んでいる賃貸は4部屋しかないこともあり、防犯カメラ設置を大家さんは考えておらず、入居者でそれぞれ防犯してほしいと言われました。
後日、管理会社から修理代金の請求書とガラス屋さんが撮影した被害状況写真が送付されてきました。
保険会社への連絡後別途送付された、保険金依頼書等に被害届番号等の必要事項を記入し、被害状況写真などの審査用書類を添付して保険会社へ返送しました。
2024年9月末現在、まだ審査結果は出ていませんが、写真や警察への問い合わせで、保険金の支払金額が決定するようです。
長くなりましたが、以上が私が経験した空き巣被害の全容です。窃盗被害はないため、正確には住居侵入・器物損壊の被害でした。
今回の件で、犯罪者は身近にいることを実感し、自分の防犯意識の低さも反省しました。
この体験記事を読んだ方が、犯罪が身近にあることに気づいていただければ幸いです。
空き巣被害にあった場合の正しい対処法
空き巣に合うと気が動転しますが、冷静に落ち着いた対応をすることが大切です。
ここでは空き巣被害にあった場合の正しい対処法を時系列順に紹介します。
焦って中へ入らず警察へ通報して外で待機!
家に帰り、何かがおかしい、もしかして空き巣に入られた?、そう感じたらすぐには家の中へ入らず、警察へ通報しましょう。
タイミング悪く、空き巣犯がまだ家の中で隠れているかもしれません。鉢合わせた場合、何としても逃げたい犯人に危害を加えられるかもしれません。
まずは自分の身の安全を第一優先で行動しましょう。
大家さんや管理会社へ連絡
警察の捜査協力・被害状況確認・地域の治安の情報収集
クレジットカードや免許証の利用停止連絡をする
ガラスなどの修理会社を手配
部屋の構造や物の配置を覚えた空き巣犯が、再び戻ってくることも考えられるため、できればその日のうちに修理に来てもらえるよう交渉しましょう。
自分でも被害状況を写真に収める
のちのち火災保険を適用するには、被害状況を正確に保険会社に伝える必要があります。
証拠が不十分で被害を受けたと判断されなかった場合、修理代金等が全額対応してもらえなかったり、保険に入っているのにほとんど自己負担になったりすることがあります。
被害届の登録番号があれば保険会社から警察に被害照会依頼をして実態を把握してもらうことができますし、ガラスの修理会社が修理前に写真を撮っていればそれを利用させてもらうこともできます。
保険をしっかりと活用するためには、掃除をする前に被害状況を詳細に自分でも撮影しておくことが肝心です。
部屋の掃除
すぐにできる防犯対策をする!
空き巣被害にあった場合、再び侵入される可能性があります。
ホームセンターなどで売っている、すぐに設置できる防犯グッズを、できればその日のうちに購入し設置しましょう。
窓ロックやガラスフィルム、センサーライトくらいであれば、すぐに購入設置できる金額です。
自分の身を守るためにできる限り早く防犯対策をしましょう。
防犯カメラは設置タイプによっては取り付けNGの場合もあるため、大家さんや管理会社に確認を取ってから設置するようにしましょう。
火災保険の保険会社へ連絡する
以上のように、特に被害状況を自分で写真に収めることや、その日のうちにできる防犯対策を早急に行うことが重要です。
空き巣被害に備えた火災保険のポイント
空き巣被害による損害費用は入居者負担がほとんど!
一般的に空き巣は、入居者(借主)にとっては防ぎ難い被害であり、大家さんや管理会社(貸主)に対する賠償責任はないものと考えられます。
しかし、貸主にとっても想定しきれない事象(被害者)であり、空き巣による損害は入居者に請求されることが慣例となっているようです。
物件によっては、入居時に火災保険への加入を勧め、その保険を入居者に適用してもらうよう事前対策している貸主も多いです。
賠償責任がないのに、入居者負担となることに不満を感じる気持ちはわかりますが、実際はそのような結末となることが多いようです。
火災保険の適用範囲は事前に確認しておくこと!
この機会に入居者負担となる場合の具体例を、大家さんや管理会社に問い合わせておきましょう。自己負担となる事象に遭遇した場合に備え、事前防災の参考のためにも、しっかりと把握しておくことをお勧めします。
賃貸でも防犯対策をしよう!
ここまで見てきたように、賃貸であっても空き巣のターゲットとなり得ます。
特に1階は侵入までの障害が少なく空き巣被害にあいやすいと考えられるため、物件選びの時点でフィルターをかける方も多いでしょう。
私も空き巣にあった当日中にできる限りの防犯設備を導入しましたが、本来は被害にあう前にやっておくべきだったと後悔しました。
人によっては意味がないと思うようなことかもしれませんが、目に見える防犯対策をすることで、防犯意識の高い住人だと認識され、ターゲットから外れることが期待できます。
防犯対策に遅すぎるということはありません。この記事を読んでいるような、防犯意識が少し高まっているこの瞬間に、できる限りの防犯対策を検討してみてください。
まとめ
いかがだったでしょうか?最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事を読んで、空き巣被害は身近な存在であることを認識していただけたら幸いです。
今回、同棲中で病気療養中だった彼女が、仕事復帰した当日に被害にあい、もし1日復帰日がずれていたり帰宅時間が数時間ずれて、居留守をよく使う彼女と空き巣犯が鉢合わせしていたらと考えると、、、何も防犯をしていなかった自分が許せませんでした。
被害にあってからでは遅いです。大切なもの、大切な人を守るために、
防犯対策をしていない方は、ぜひこの機会に検討してみてください。